開催によせて
表現の拡張展では、毎年テーマを決めて一定の制約の中で造形表現の可能性を追求してもらっています。過去に設定したテーマは「過剰性」「黒」「伸縮」「10点組作品」「発注」です。こうした縛りを設けると、普段と違ったことに挑戦するきっかけになります。制約を与えることで創造性が損なわれる懸念もありますが、共通のテーマに取り組む中で互いの試みから触発されることも多いようです。
今年のテーマは「S0号の木製パネル」です。一辺18cmの正方形木製パネル(薄いベニヤの裏面に桟が取り付けられたもの)、または同サイズの板を使うことが条件です。素材の指定は今回が初めてだったので、出題者としてはややチャレンジングです。慣れ親しんだ素材や技法をベースに想像を膨らませたい学生にとっては抽象的なテーマの方が当てはめやすいのですが、今回のように取り扱う素材が指定されてしまうと活路を見出せなくなる可能性もあります。一方で、具体的な素材が指定されるとそれを使わざるを得ない以上、いつも以上によく観察し、さらに実物を手にとって触りながら考えることができるため、発想を展開させやすい面もあるのではないか…という期待もあります。
今年はもう一つ、新しい試みをしています。各自のキャプションに「制作条件」という項目を追加しました。S0号木製パネルの使用については出題者側が課した条件ですが、作り手側も表現を深掘りにするために何らかの制約を自身に課しているはずです。それを文章化して試行錯誤のフィールドを明確にすれば、漠然と考えるよりも悩むべき点がはっきりするのではないかと期待をしています。鑑賞者にとっても、作り手の試行錯誤のフィールドを覗き見できるのは結構興味深いのではないかと思います。同じ制作条件下で、自分ならどんな風に展開できるか想像しながら鑑賞すると面白いかもしれません。
今年のテーマは「S0号の木製パネル」です。一辺18cmの正方形木製パネル(薄いベニヤの裏面に桟が取り付けられたもの)、または同サイズの板を使うことが条件です。素材の指定は今回が初めてだったので、出題者としてはややチャレンジングです。慣れ親しんだ素材や技法をベースに想像を膨らませたい学生にとっては抽象的なテーマの方が当てはめやすいのですが、今回のように取り扱う素材が指定されてしまうと活路を見出せなくなる可能性もあります。一方で、具体的な素材が指定されるとそれを使わざるを得ない以上、いつも以上によく観察し、さらに実物を手にとって触りながら考えることができるため、発想を展開させやすい面もあるのではないか…という期待もあります。
今年はもう一つ、新しい試みをしています。各自のキャプションに「制作条件」という項目を追加しました。S0号木製パネルの使用については出題者側が課した条件ですが、作り手側も表現を深掘りにするために何らかの制約を自身に課しているはずです。それを文章化して試行錯誤のフィールドを明確にすれば、漠然と考えるよりも悩むべき点がはっきりするのではないかと期待をしています。鑑賞者にとっても、作り手の試行錯誤のフィールドを覗き見できるのは結構興味深いのではないかと思います。同じ制作条件下で、自分ならどんな風に展開できるか想像しながら鑑賞すると面白いかもしれません。
上浦佑太(芸術系助教・構成領域)
講評会