2024.3 研究室公開ゼミ(学群・大学院合同)

研究室の活動目的について
 “構成”は造形研究分野の名称として一般に馴染みがないため一見難しく感じるかもしれませんが、実際はとてもシンプルです。構成は作り方や見え方の原理そのものに着目して表現の開拓を試みる分野であり、研究・教育の目的を端的に言えば「造形表現の土台を拡張すること」と「そのための実験的姿勢を身につけること」と言い表すことができます。新しい表現を開拓するためには先端技術や新素材への挑戦も有効ですが、一方で定番の技術や身近な素材にもまだまだ表現の可能性は残されています。研究室のメンバーはどちらかと言えば後者を好んで模索するアナログタイプが多いようですが、テクノロジーを駆使した表現の開拓ももちろん歓迎です。
 構成は「基礎造形」と説明されることもあります。科学に応用科学と基礎科学があるように、造形においても基礎が存在すべきである、という考えから生まれた言葉が「基礎造形」です。そのため、ここでいう「基礎」は決して「初歩」という意味ではありません。基礎工学や基礎医学のように、応用科学の基盤になり得る知見の充実を図るエリアと捉えてもらっても良いでしょう。しかし一方で、将来的に役立つ可能性を第一義的な存在意義として主張することは避けたいと考えています。興味の純粋な追求が許容される場として捉えてもらった方が躊躇なく様々な造形実験ができるため、かえって豊かな成果が得られるだろうと考えているからです。こうした実験を通して得られた成果を蓄積・発信することが研究室の活動目的です。

研究室を希望される方へ
・大学院進学を希望される方へ

上浦研究室では、入学前の専門を問わずあらゆる分野からの進学を積極的に受け入れます。他大学からの進学や、社会人を経ての入学ももちろんウェルカムです。違った背景を持つ学生が集まれば、互いに刺激を得て新たな着想を得るチャンスが広がるからです。とくに、手もとで起こるアクシデントを発想の起点にして、かたち遊びの感覚を楽しみつつ作品化するプロセスがフィットする方には当研究室をお勧めします。進学を検討される場合、第一にあなたが期待する研究環境かどうか正確に判断していただくことが重要です。構成という研究分野を初めて聞く方にとっては、web上の情報だけではなかなか判断しきれないでしょう。受験前に直接、メールでご連絡下さい(アドレスはcontactページに記載)、きちんと相談に乗ります。なお、当研究室の所属は芸術学学位プログラム(博士前期課程)になります。
・学群生として研究室を希望される方へ
筑波大学芸術専門学群に入学し、なるべく構成関連の授業を一通り履修したうえで研究室志望を出してください。就職を心配する学生もいますが、構成研究室出身者にはグラフィック、web、テキスタイル、ジュエリー、ディスプレイなどのデザイナーや造形作家も多く、中高美術教員・大学教員になった先輩もたくさんいます。「基礎造形への貢献」を標榜して実験的造形を奨励する研究室は全国的にも珍しく、また本学は構成学研究・構成教育の歴史も長いため豊富な蓄積があります。本学で構成を学ぶことは、卒業後も自分で成長し続けるための伸び代を広げる意味で大きな糧になるはずです。まずは、自分がやりたいことを後押ししてくれそうな環境かどうか、研究室メンバーの作品や授業課題作品などをもとに検討してみてください。
上浦 佑太 略歴
1982年  神奈川県川崎市生まれ つくば市在住

2006年  筑波大学芸術専門学群構成コース  卒業
2009年  筑波大学大学院芸術専攻構成領域  修了
2011年  玉川大学芸術学部助手
2012年〜 筑波大学芸術系助教(構成領域)

個展
2016年 筑波大学アートスペース(茨城/つくば)

2014年 KANEKO ART TOKYO(東京/神田)
2011年 ギャルリー東京ユマニテ(東京/京橋)
2010年 ギャラリーなつかb.p(東京/銀座)
2009年 KANEKO ART TOKYO(東京/東日本橋)
2008年 KANEKO ART TOKYO(東京/京橋)
グループ展
2017年 「View's view」ギャラリーなつか(東京/京橋)
2015年 「神奈川県美術展」神奈川県民ホールギャラリー(横浜)
2014年 「Selection -3つの視線-」ギャラリーなつか(東京/京橋) 伊藤泰雅、上浦佑太、永野のり子
      「交差する表現ー構成専攻の現在 CROSS SECTION」筑波大学芸術系ギャラリー(茨城/つくば市)
2013年 「神奈川県美術展」神奈川県民ホールギャラリー(横浜)
2012年 「View's view 小作品展」ギャラリーなつかC-View(東京/京橋)
      「神奈川県美術展」神奈川県民ホールギャラリー(横浜)
2011年 「画廊からの発言'11 小品展―チャリティー展」ギャラリーなつかb.p(東京/銀座)
2010年 「ミニアチュール2010」ART WORKS GALLERY(茨城/水戸)
      「群馬青年ビエンナーレ2010」群馬県立近代美術館(高崎)
2009年 「KANEKO ART TOKYO 09 展」KANEKO ART TOKYO(東京/東日本橋)
      「SproutVI」ART WORKS GALLERY(茨城/水戸)
      「筑波大学博士前期課程芸術専攻修了制作展」茨城県つくば美術館(つくば)
2008年 「神奈川県美術展」神奈川県民ホールギャラリー(横浜)
2007年 「アクリル美術大賞展」兵庫県立美術館王子分館 原田の森ギャラリー(神戸)
2006年 「筑波大学卒業制作展」茨城県つくば美術館(つくば)

受賞
2009年 筑波大学博士前期課程芸術専攻修了制作展 優秀作品賞

コミッションワーク
2015年 IIIS国際統合睡眠医科学研究機構 作品設置

所属学会
日本デザイン学会
日本基礎造形学会

掲載
2017年   天井に飾られた謎のオブジェとは? [vol.1] [vol.2] [vol.3] [番外編] IIIS国際統合睡眠医科学研究機構広報
2017年 「構成学のデザイントレーニング―デザインに活かす造形力」三井秀樹・三井直樹著 六耀社(作品提供)

2008年 「芸術新潮」5月号  stardust(展評) 新潮社
      「CINRA MAGAZINE」Vol.18 p.A-4 CINRA,inc

2006年 「新構成学 21世紀の構成学と造形表現」三井秀樹著 六耀社(作品提供)

Back to Top